発団50周年をお祝いして
 大阪第87団の発団50 周年を心からお祝いいたします。
1907年に英国のベーデン・パウエル卿によって始められたボーイスカウト活動は、100年を越える歴史がありますが、日本では太平洋戦争後、盛んになり、教会の青少年活動の一つとしても取り入れられるようになりました。
大阪第87団は1963(昭和38)年10月、松岡安立・虔一司祭の時に大阪聖愛教会の男子に対する活動としてスタートしました。爾来、50 年間、地域社会で生活する青少年の心身の健全な成長と、体験を通して社会で役立つ能力や技能を身につけるための野外生活を中心にした活動を今日まで続けて来ています。

 ボーイスカウトが掲げる次の3つの「ちかい」は大変重要で、いつの時代にあっても大切にしていかなければならないものです。
  1. 神(仏)と国とに誠をつくし、おきてを守ること
  2. いつも他の人々を助けること
  3. 体を鍛え、心を健やかにし、徳を養うこと
ボーイスカウトの指導者は確かな信仰を持って、神から与えられた青少年たち一人一人の命を掛け替えのないものとして尊び、青少年を大切に育てて養っていくことをめざします。指導者はこの世界の中で共に生きる人間として、助け合い、支え合って生きていくことの大切さを、ボーイスカウト活動を通して、絶えず人々にアピールしていく使命を担っています。
残念ながら、今日、ボーイスカウトやガールスカウト活動は停滞気味です。目先の利益や楽しみを求めることに急であり、自己中心的で、他人のことなど考えない生き方が横行しているこの時代です。だからこそ真の生き方を求めて進んで行こうとするスカウト活動は、大切な役割を担っていると言えるのではないでしょうか。

 2015年には山口県で第23回世界スカウトジャンボリーが開催されます。世界の平和と青少年の明るい未来を求めて、世界の仲間たちが共に集い、手を取り合って進んで行くことができるようにと願います。また大阪第87団が主の導きにより更なる発展をされますようお祈りいたします。

日本聖公会大阪教区 主教 大西 修
発団50周年に敬意を込めて
 私が聖職を目指して学んでいた聖公会神学院で、出掛ける時に、それがどんなに良い天気でも、いつも折りたたみ傘をカバンに入れている上級生がいました。訳を尋ねると、「ツボやん(私のニックネーム)、“備えよ常に!”だよ。ボーイスカウトでは常識さ。」との返事でした。彼は幼い頃からのスカウト育ちだったのです。いつも親切で、元気で、気持ちの良い上級生でした。“ボーイスカウト“と聞くと、まず頭に浮かぶのが先輩Tさんです。教会のボーイスカウトで育ち、体育の先生になろうか牧師になろうか迷った末に、大学ではキリスト教学科を選び、聖公会神学院に来ていたのです。もちろん今も司祭の道を元気に歩んでいます。B.S.が熱心な聖公会信徒のベーデン・パウエル卿によって20世紀初頭に創設されたことを知ったのもその頃のことでした。

 私の神学生時代の実習先・石橋聖トマス教会、そして最初の赴任地である聖贖(せいあがない)主(ぬし)教会・博愛社(児童養護施設)にもB.S.がありました。入団式での子どもたちの緊張した面持ちを思い出します。そして今、大阪聖愛教会に昨年4月に赴任してきまして、大阪第87団が創立50年の記念すべき年を迎える機会に居合わせたことを光栄に思っています。半世紀に亘るご活動、そのご苦労の大変さは如何ばかりだったことでしょう。

 今の私には、キャンプやハイクに出掛ける前にお祈りをするささやかな関わりですが、同じ敷地内に住んでいて垣間見る団委員さんやリーダーの皆様の活動には、日々頭の下がる思いです。長い年月をかけて若者を育てていくお働きに、心から敬意を表し、エールを送ります。子どもさんだけでなく、ご家族の皆様がたのご協力にも心から感謝申し上げます。
 第87団で育たれた方々のご健勝、ご活躍と、これからも立派な人たちが育っていかれますようこれからも祈り続けます。

大阪聖愛教会 司祭 齊藤 壹
継続は力なり、発団50年を祝う
 発団50年おめでとうございます。
50年に及ぶスカウト・隊リーダー及び団役員の皆様方の努力でゆるぎない基盤を築きあげられました。
また、この年月のそれぞれの時・ところで得られた、楽しかったこと、苦しかったことが積み重なって一つの伝統も育ってきました。

 伝統は古いから、懐かしいからそれを受け継いで行くものではなく、将来の団のスカウティングのため、そして何よりもスカウト諸君のこれからの進歩成長にどれだけ役に立つかを考えて選り分け活用すべきものと思います。

 しかし何事も伝統を守るだけでは進歩も発展もしないでしょう。
 仲間を増やしスカウト教育法に基づく隊運営・班活動を実施し本来のスカウティングを体験してもらう必要があります。団内の全ての指導者の総力を挙げて組織・運営・活動に取り組む必要があります。ボーイスカウト活動の楽しさを仲間とともに実感できる活動に是非しようではありませんか。

 団がこれからも発展し続けるためには、「①そこに核になる人がいて、その人が熱心でかつ無私であること、②核を手助けする人がいること、③核の人が絶えず「PASS ON」(後継者づくり)を心がけていること」が必要と言われます。
 幸いなことに、発団以来の団本部でもある、「日本聖公会・聖愛教会」に支えられ、育成会長・団委員長を中心とする強固な人的基盤があり、若手リーダーも育ってきています。

 次の歴史に向けて大阪第87団が更なる発展をされることを祈念して、お祝いの言葉といたします。

南東地区 地区委員長 大段 健司
100周年への素晴らしいスタート
 87団が発団50周年を迎える事は、団に関わる者には大変嬉しいことであります。
前々団委員長の福田司祭が:神様に祝福された者は長寿である:と教えておられました。どの様な団体でも50周年を祝う事は簡単ではありません。

 今日の87団は神様に豊かな祝福をいただいて来ました。
それは指導者の皆様、教会の方々、地域、保護者の協力、南東地区のご指導と援助がありました。登録名簿を読み返しますと、50年前団創設時の委員には聖愛教会の委員会10名が名を連ねておられます。
また私が大変嬉しいことは高島団委員長を始め新しいスタッフに依って団の運営が成されていることです。これは100周年に向かっての素晴らしいスタートです。
現在団を運営する団委員、指導者の方々は教会のメンバー以外の方々が多くおられますが、この事は発団時の教会の願い(多くの方々に教会を知ってほしい)が実現された事です。

 1907年イギリスでベーデン・パウエルに依って創められたスカウト活動は、1908年広島師範学校の校長北条時敬氏が、英国でボーイスカウトの資料を入手、日本に持ち帰り研究が始りました。
付属の中学校の生徒の中村智氏は後年教師として大阪の高津中学に赴任、クラブ活動にスカウティングを取り入れました。

 大阪は日本でも静岡、京都、と並んで一早くスカウティングが始まりましたが、当時中学の生徒であった浜田徹氏も活動に参加、後年大阪聖愛教会で大阪87団を発足させます。中学の同級生の大阪連盟理事長の村田正雄氏にスカウティングと信仰の関係をよく相談して居られたと聞いております。
こうして大阪87団は先輩諸氏の絶えざるスカウティングに対する情熱と祈りが今も息付いています。
しかし少年達の取り巻く環境は厳しく野外活動で、人生で大切な経験をする機会が少なくなってきております。スカウトの数も少なくなりスカウティングの基本である、班を作りゲームとして競い合いながら学ぶ事が難しくなってきました。
どうか皆様と力を合わせて1人でも多くの子供たちをこの活動に参加していただけるようにご協力ください。

南東地区 地区協議会会長 三木 靖一